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(2) 東京における坂道の標識
最終更新日:2003/06/28
1 標識について(全般)
(1) 坂道の標識とは
東京23区内の名前にある坂道の道路際には、その坂道の「標識」−柱状になったものが多い−が設置されていることが多い。数えたわけではないが、全体の8割くらいの坂道には標識が設置されているのではないかと思う。逆に言うと、標識がない坂道だからといって、そこが名前のある(由緒ある)坂道ではない、とは言えない。実際、有名であるのに標識が建てられていない坂道もある(たとえば、千代田区三宅坂、目黒区権之助坂。これらの坂名は交通標識等でわかる場合がある)。
坂道の標識は、
@ 坂道の名称(読み方もあわせてふられているものが多い)
A 名称の由来、故事などの説明文
B 標識の設置主体
C 標識の設置年月
などを説明している。
このうち、@はどの坂道の標識に書かれている(なければ標識になりませんから)が、ABCは記載されていない標識もある。本サイトでは標識がある坂道については、標識の有無を明らかにしているほか、そしてそこに書かれた名称の由来等の説明文をそのまま転載している。
なお、坂道そのものの標識ではないが、坂道の近接した施設等の表示に、その坂道の名称、由来等が書かれている場合も、標識に相当するものと見做し本サイトでに掲載している。
(2) 坂道の標識の設置主体、設置時期等
東京23区内にある坂道の標識は、東京都またはその坂道がある区(主に教育委員会)が設置しているものでがほとんど(特に後者が大半)であり、それらは昭和50年代以降に設置されている。ただ、中には、たとえば新宿区中井町会が設置した「一の坂」から「八の坂」までの標識のように、町会などが設置したものもある。さらに、豊島区さいとう坂の標識のように、設置主体が何も明記されておらず不明のものもある。
また、昭和50年代以降に設置された新しい標識のほかに、以前から設置されていたと思しき石製の標識(坂名が彫られている)が置かれている坂道もある。たとえば、大田区桜坂、文京区鷺坂、同曙坂、目黒区鶯坂などである。これらを集めたコレクションは(工事中)。
なお、例外的なものとして、一つの坂道に、複数の主体が標識を設置しているケースがある。たとえば、目黒区の行人坂(目黒区教育委員会と目黒雅叙園)、文京区清戸坂(東京都と文京区)などである。
(3) 標識の数・設置位置等
1つの坂道に置かれている標識の数は、1つ又は2つの場合がほとんどである。ただし、新宿区落合方面の七曲坂や久七坂のように、一つの坂道に標識が3つも設置されている例もある。
標識が2つの場合の設置位置は、坂上と坂下である場合がほとんどであり、標識が1つの場合は、坂上、坂の中ほど、坂下とさまざまである。3つの場合は、坂上、坂中ほど、坂下の3か所であった。
設置されている場所という意味では、坂道の脇や、車道と歩道の間(植え込みなど)に設置されている場合がおおいが、プレートで壁に埋め込まれたものもある。
(4) 標識の形状
標識の形状は、角柱のものが多いが、設置主体に応じて様々なタイプがある。これについては「2.設置主体別に見た標識の種類」において後述する。
(5) 「なぜ名前がある坂道であるのに、標識が設置されていないのか?」
東京都や区の教育委員会、あるいは地元の人間でもないので、標識が設置されたいない本当の理由は分かる由もない。だが、以下のような理由があると想像できると思う。
@ 区が名のある坂道に標識を設置することに積極的ではない。
標識の設置で最も中心的な存在は区であるが、以下で具体的に述べるとおり、坂道がある区でも、そこに標識をつけることに積極的な区がある一方で、あまり積極的でない区がある。後者の例としては、豊島区や渋谷区を挙げることができよう。
A 名称が迷惑・不吉等なものであるため、周辺住民に配慮して設置しない。
坂の名前には、「幽霊坂」(北区等)とか「芥坂(ごみざか)」(新宿区等)とか「おいはぎ坂」(大田区)とか、近隣住民にとってはありがたくない名前の坂もある。こうした坂道には標識をつけることに住民の反対(あるいはそれを気兼ねする区の姿勢)などがあるのではないかと想像される。
B 以前標識を設置していたが、それが撤去された。
このようなケースも実際に存在する。たとえば、目黒区天神坂、同鶯坂、北区芝坂。ただ、このような場合には、標識が無かった時期が標識の更新期に当たっていて、新たに標識が設置される場合もある。実際、目黒区の大坂などは標識が以前に比べて新しくなっていた。
C 神社の石段・参道が名前のついた坂道になっている
これは少々特殊なケースなのだろうが、神社の本殿に向かって真っ直ぐに登る急な坂道を男坂、その脇を緩やかに上る坂道を女坂という呼ばれている場合がある。このような場合に、標識が設置されているケースもある(例:明神男坂)のだが、標識がないケースの方が多い。男坂、女坂という表現が固有名詞というよりは一般名詞に近いものだからだろうか、あるいは、神社の境内にあるためだろうか。
D その他の理由(交通上の理由?)
区が設置に消極的なわけでもないし、また名前が不吉等でもないのに、標識が設置されていない坂道もある。たとえば、文京区は坂道の標識の設置に大変熱心な区なのだが、名前が悪いわけでもないのに標識が設置されていない坂道がいくつかある(例:小日向方面横町坂)。また、港区になると、標識も相当数立てているのだけれど、標識を立てていない坂道もかなりの数が存在している。もちろん、これらの中には、たとえば、道が狭く標識が交通上邪魔になるとか、Bに該当するとかいうものもあるのだろう。予算上の制約もあるのかもしれない。が、概して標識が設置されない理由はよく分からない。
(6) 標識の更新
区が設置している標識は、古いものでは昭和50年代に設置されている。古い標識(特に木製)は、年月を経るごとにどうしても傷んでいくし、書かれた文字も読みにくくなっていく。このためであろう、多くの区は、これら古い標識を新しい標識に置き換えている(その中で坂道に関する説明も多少変わることがある)。ただし、上記のとおり、目黒区のように、古くなった標識を撤去したまま新しい標識を設置していない、という場合もある。
2 設置主体別にみた坂道の標識の種類
坂道の標識は、既に述べたとおり、@東京都、A坂道が所在する区(主に教育委員会)、Bその他が設置したものである。数でいえばAが圧倒的に多いのであるが、標識の設置については、区によって、取組みの度合いが大きく異なっている。たとえば文京区や大田区は非常に力を入れており、ほとんどの坂道に詳細な説明を記した標識を設置している。それよりも程度は劣るかもしれないが、千代田区、港区、新宿区、北区なども標識の設置に積極的である。逆に、渋谷区、豊島区などは名前のある坂道があっても標識を設置していないケースが多い。
標識の形状等は、設置主体によって様々である。以下のリンクでは、設置主体ごとに標識の特徴を説明している。
(1) 東京都が設置している標識 (2003/01/18)
(2) 千代田区が設置している標識 【工事中】
(3) 新宿区が設置している標識 (2003/06/28)
(4) 港区が設置している標識 (2003/01/20)
(5) 文京区が設置している標識 【工事中】
(6) 台東区が設置している標識(2003/06/21)
(7) 荒川区が設置している標識 (2003/05/31)
(8) 北区が設置している標識 (2003/01/31)
(9) 豊島区が設置している標識 (2003/01/22)
(10) 渋谷区が設置している標識 (2003/05/31)
(11) 目黒区が設置している標識 (2003/05/31)
(12) 品川区が設置している標識 (2003/01/20)
(13) 大田区が設置している標識 (2003/01/25)
(14) 世田谷区が設置している標識 【工事中】
(15) その他
(初稿:2003年1月18日)
(修正:2003年5月31日)
(修正:2003年6月21日)
(修正:2003年6月28日)