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東京の坂道に関する参考文献

最終更新日:2004/07/19

※ 前回更新(2004年7月19日)以降に、東京の坂道に関する新たな書籍がいくつか刊行されています。近く記載を追加するつもりでいますので、ご注意下さい。(2007年5月26日)

  東京(江戸)の坂道については、江戸時代以来、いろいろな文献に記述があります。 『御府内備考』『江戸名所図会』『東京名所図会』などの江戸・明治時代の文献は、坂道の場所や名称の由来など、今日我々が東京の坂道について知る情報の源であり、資料的価値をもったものです。区の教育委員会などが設置した標識での説明も、大部分がこのような文献に基づいているといってもよいかもしれません。もちろん、今日的に、東京の坂道について一般に説明した書物も結構あります。

  これら江戸の坂、東京の坂を扱った文献としては、次のようなものがあります。
書名 刊行年 坂数 編著者
紫の一本 1682 31 戸田茂睡
江戸惣鹿子 1690 39 藤田理兵衛
江府名所志 1733 74 藤原之廉
続江戸砂子 1735 48 菊岡沾涼
万世江戸町鑑 1753 131 野路昌蔵、坂本清右衛門
御府内備考 1829 191 三島政行ほか
江戸名所図会 1836 59 斎藤幸雄、幸孝、幸成
東京地理沿革誌 1890 205 村田峰次郎
新撰東京名所図会 1896-1911 ? 東陽堂
東京案内 1907 193 東京市役所
江戸の坂 東京の坂  1970 433 横関英一
東京の坂道 1971 502 石川悌二
続江戸の坂 東京の坂 1975 横関英一
今昔東京の坂 1981 (注) 岡崎清記
東京の坂 1994 547 中村雅夫
江戸東京坂道事典 1998 502(注) 石川悌二
歩いてみたい東京の坂 1998-99 585 三船康道ほか
東京の坂風情 2001 600余(注) 道家剛三郎
 (注)ただし、東京23区以外(多摩地区)の坂道を含んだ数字。
                      (三船康道監修「歩いてみたい東京の坂(上)」を元に作成)

  
私が使用している東京の坂に関する文献は、次のとおりです。


  
横関英一 『江戸の坂東京の坂』 中公文庫(昭和56年) 【単行本は昭和45年刊 有峰書店】
  
横関英一 『続江戸の坂東京の坂』 中公文庫(昭和57年) 【単行本は昭和50年刊 有峰書店】
  東京で坂の標識ができるようになったのは、これらの本が刊行されて以降です。個々の坂道というよりは、章ごとに東京の坂道に関するトピックを1つとりあげて解説しています。
  この本で興味深いのは、説明もさることながら、掲載されている数々の写真です。大部分が昭和30年代〜40年代に撮影されて写真であり、現在との大きな違いに一種の感慨があります。
  現在は古本屋でしか入手できないと思います。

  石川悌二 『江戸東京坂道事典』 新人物往来社(1998年)
  502の坂道(今は消失した坂道を含む)を掲載し、そのそれぞれについて、位置、歴史等に関する詳しい解説をつけており、内容の充実度はかなり高いものがあります。
  著者の息子さんのホームページ
によると、著者が1971年に出版した『東京の坂』を、著者の死後に新装改訂したのがこの本だそうです。この本は実際、評価が高いようですね。
  この本も、現在は古本屋を通じて入手することになります。

【追記 2004年7月19日】今年になって、この本のコンパクト版が出版されました。大きな本屋の店頭なら売っていることもあります。内容は某大書店の店頭で一見したところ、従来のものとは変わらないようです。しかし、コンパクト版とはいえ、5,040円(税込み)というのは値段が高いのではないでしょうか。

  

      三船康道監修 『歩いてみたい東京の坂(上)』 地人書館(1998〜99年)

  この本では、地図付き、写真付きで、東京にある坂(総数585)を紹介しています。数的には他の文献をしのいでいます。ただし、585すべての坂について写真や詳しい解説があるわけではありません。私の見るところ、この本で取り上げられている坂道は、基本的に、横関英一『(正・続)江戸の坂 東京の坂』、中村雅夫『東京の坂』、石川悌二『江戸東京坂道事典』に記載されているものを集めたといってよいように思います。
  標識もなくインターネットでもあまり見当たらない坂まで載っていますが、そのような坂に限って本文での説明がないことが多いのが残念です。坂道の位置を示す地図も掲載されていますが、個々の坂道の位置に疑問のあるものがいくつかあります。
  この本は、図書館にあることも多く、上記2つの本に比べると入手しやすい本だと思います。
    

       岡崎清記『今昔 東京の坂』 日本交通公社(1981年)【2004年7月19日追加】

  この本の存在は少し前から知っていたのですが、2004年になって初めて中身を見ました。内容は、横関本、石川本と同じくらいに充実していると思います。2004年5月に古本屋で購入しました。

       『東京 山手・下町散歩(どこでもアウトドアシリーズ)』 昭文社(1999年)

  上のリストには含まれていませんが、都内を散歩する者向けのガイドマップです。都内各地域の1万分の1の地図に沢山の坂道の位置が示されており、坂道を訪問するには手軽で便利な本です(散歩のコースとして「坂道めぐり」も掲げられています)。坂道を探訪するときにはいつも持ち歩いています。といいますか、この本のおかげで坂道を探訪するようになった、という方が正確ですね。
  ただ、問題として、(1)坂名のある坂道が網羅的に載っているわけではないこと(確かに掲載数は多いが、標識があるのに抜け落ちている坂も結構ある)、(2)地図上で坂道の位置が誤っている場合がままあること、などがあります。
[追記] 現在店頭に並んでいるのは第二版になっていますが、上記の問題点に関しては以前の版と同様です。

      『切絵図・現代図で歩く江戸東京散歩(古地図ライブラリー別冊)』 人文社(2002年)

  江戸時代の地図(尾張屋板「江戸切絵図」)と、現在の地図を左右で対比した本です。坂名には江戸時代に由来するものが多いですが、そのような由来を知るときの参考になります。この本では、坂道も、多くはありませんが、江戸時代の地図と現代の地図にいくつか載っています。