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(1) 東京の坂道・概説

最終更新日:2002/11/09

以下は、東京の坂道について、一般的な説明を簡潔に述べてみたものです。これに尽きるものではなく、今後も、いろいろと「トピック」の中で取り上げていきたいと思っています。

東京の坂道の多さ
  「東京に坂道が意外と多い」とよく言われる。実際、起伏が多い地形である。標高そのものは高い所は少ないが。

名前の付いた坂道
  東京に坂道はたくさん存在しているが、その中でも名前の付いた坂道は多い。本サイトで取り扱っているのはこのような坂道だが、500以上存在している。坂道に名前を付ける慣わしは、海外にはあまりないらしいが、日本国内では各地で名前の付いた坂道が存在しており、これは東京だけに限ったことではない。しかし、江戸期以降の地誌や近年の書籍、東京都や各区による取組みなどもあって、東京には由緒ある坂道の名称が現在でも数多く残されてきている。

坂道のできた時期
  古い街道沿いの坂道もある一方で、江戸期以降に新しく切り開かれた坂道、明治以降の区画整理等によって新たにできた坂などがある。

坂道に名前の付いた時期
  東京で坂道に名前がつけられたのは主に江戸時代以降と考えてよいだろうが、明治・大正期、あるいは戦後になってつけられたものもある。

坂道の傾斜など
  坂道の勾配についていえば急な坂道、緩い坂道、いろいろとある。昔(江戸期など)に比べると、道路が整備されるなどしてきた過程で、削られならされてきたため、だいぶ傾斜が緩くなっているようである。ほとんど傾斜がなく、うっかりすると坂道とは全く意識されないような坂道もある。
  坂道の距離は、計測したことはないが長い坂は、数百メートルにも及ぶ。たとえば、名前もずばり「永坂」(港区麻布)というのは、長い坂ゆえそう名付けられた。短い坂道は、(石段の坂を除外すると)、せいぜい20〜30mといったところだろうか?
  石段の坂は、割合的には多くはないが、それでも少なからず存在している。神社の境内へ向かう石段に名前がついていることもある(典型的なのは、男坂と女坂)。

名前の付いた坂道のある地域
  名の付いた坂道は、地形の関係から、同じ地域にかたまって存在している場合が多い。たとえば、麻布、赤坂、市ヶ谷、目白台、田端など。逆に、荒川、隅田川河口周辺の地域は地形が平坦で、坂道自体あまり存在していないようである。「山の手の坂、下町の橋」という言い方もあるようであるが、丘陵地帯が多い山の手の地域には名の付いた坂道が多いようだ。
  このようなことから、東京23区において、名前のある坂道の分布は地域的な偏りがある。文京区が最も多い。ついで、港区、新宿区、千代田区といった都心の区である。ただし、都心の方が坂道一般が多いというよりも、歴史的に人が多く集まっていたため、坂道も多く、名前も付き易かったのだろうと思われる。

坂道の名称
  名称は、目に付いて気になる人が多いせいか、何故そのような名称がついているのか、由来が取り上げられることが多い。もし、坂道に標識があれば、それに書いてあることが多い。
  同名の坂道はよく話題となる。その中で最も多いのは「富士見坂」であろう。東京に約20あると言われるが、現在は実際に富士山が見られるのはごくわずか、といった調子の論調が多い。他に、潮見(汐見)坂、幽霊坂、新坂、胸突坂、暗闇(又は暗、又は闇)坂、稲荷坂、八幡坂などは23区内にそれぞれいくつか存在している。これについては別項で個別に取り上げるつもりである。

坂道の標識

  坂道には、(ほとんどの場合は、坂上又は坂下だが)、柱などになった標識が道路際に設置されていることが多い。この標識は、坂の名称と坂の由来などを説明したもので、本サイトでも標識があるものについては、その説明を転載している。東京23区内の標識は、東京都や各区(教育委員会)が設置しているもので、いろいろなタイプがある。標識については、Ogawaさんのサイトがよくまとめてある(同サイトが取り扱っているのは、東京と横浜にある標識が置かれた坂道である)。これについても、別項でとりあげる予定である。

坂道に対する関心
  東京都内の坂道に焦点を当てたウェブサイトは結構多い。おそらく都や区の立てた標識があちらこちらに立っている等もあって、関心を引くのであろう。「笑っていいとも」のテレホン・ショッキングで、タモリが宇崎竜堂と、坂道の話で2回ほど盛り上がったらしい。
  ただ、扱っている坂道は人びとの集まる都心の区(千代田区、新宿区、文京区、港区など)の場合がほとんどである。ためしに検索エンジンをかけてみるとよい。たとえば、北区、大田区、世田谷区などの坂道を扱ったウェブサイトは少なく、これらの区の坂道を網羅的に取り扱うウェブサイトはほとんどないといってよい。たとえば、北区。今回調べてみて、北区には意外と名前の付いた坂道があることが分かった(区でも標識をまめに設置している)のだが、この区内の坂道をまとめて扱ったサイトは、全く見当たらないといってよい。